温熱療法の歴史

温熱療法の歴史

 温熱療法の歴史は古く、5000年以上も昔のエジプト時代にまでさかのぼります。「熱は病気に有効である」というエジプト語の記録が残っています。その後、紀元前四世紀頃、ギリシャの哲学者ヒポクラテスも温熱療法を行ったといわれています。ちなみにヒポクラテスは医聖とも呼ばれ、尊崇されている歴史に残る人物です。
<ガンに対する近代の温熱療法の歴史>
1860年
 ガンに対する近代の温熱療法の歴史はドイツ人医師ブッシュの記述に始まると言われています。「記述による」というのは、ブッシュ医師が意識的に温熱によって癌を治療したわけではなく、たまたま高熱でガンが治癒するのを観察し、その経過を記述したことによります。ブッシュ医師が診察したある患者さんの顔に、肉腫(がん)が生じました。その上この患者さんは丹毒という病気にもかかり、2回も39~40℃の高熱を出していました。丹毒というのは、湿疹や切り傷から侵入した連鎖球菌が原因となって起こる病気で、抗生物質のなかった昔は命取りになる病気でした。幸いにも、この患者さんの丹毒は治りました。ところが驚くべきことに、その患者さんの顔にできていた肉腫も一緒に治っていたのです。そこでブッシュ医師は、正常な体温以上の温度によって、正常細胞を傷つけることなく、がん細胞だけを殺すのに使えるかもしれないと提案したのです。

1893年
 アメリカのコーリー医師は、治療の目的で連鎖球菌の抽出物質を38人の末期がん患者に注射しました。連鎖球菌によって発熱したこれらの患者さんのうち12人はきわめて良くなり、他の19人は症状が軽くなりました。この抽出物は「コーリー・トキシン」と呼ばれ、当時、ガンの薬として使用されました。

1935年
 ワレン医師は、特性の小部屋で炭素電球をたくさんつけて患者さんの体表面を加温し、全身温熱療法をほどこしました。 

1965年
 スリアナラヤン医師は患者さんに軽い麻酔をかけ、患者さんの全身を45.5℃の温水に浸して全身加温を試みました。軽い麻酔をかけると、患者さんは暑さに耐えることが出来ます。

1974年
 ペチグルー医師は全身麻酔をした患者さんの全身をパラフィンで包み、同時に酸素を加えた80℃の熱気を吸入させ、患者さんの体温を41.8℃で300分以上も維持しました。肉腫は温熱療法に良く反応し、消化器系腫瘍は化学療法との併用によって効果が向上したと述べています。

1979年
 アメリカのブル医師はNASAが開発した宇宙服を患者に着せ、全身温熱療法を行っています。スペースシャトルの外に出ると宇宙はとても冷たいので、宇宙服の中は温水が灌流し、体が温められる様になっています。

1979年
 パークス医師は、体外循環法による全身加温法を報告しました。この方法は、治療中の患者さんの体調を調節出来るため、安全性の高いものとして評価され、我が国でも多くの施設で行われました。

1985年
 ロビンス医師は特殊な金属の小部屋内で、遠赤外線を使用して患者さんに全身加温を行いました。遠赤外線の放射熱により、食道温、直腸温を41.8℃に保つことが可能であったと報告しています。

1991年
 頭を出して入る遠赤外線サウナのようなコンピューターで制御された「遠赤外線加温装置」をアメリカから導入、日本で初めて「遠赤外線による全身温熱療法」を東京・ルカ病院で開始。

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